スペシャル

オフィシャルインタビュー①
メインキャスト4名と原作者・ねことうふ先生の座談会

高野麻里佳さん(緒山まひろ役)、石原夏織さん(緒山みはり役)、金元寿子さん(穂月かえで役)、津田美波さん(穂月もみじ役)と、原作者ねことうふ先生で座談会を実施いたしました!ぜひご一読ください!

――まずは先生にお聞きします。『お兄ちゃんはおしまい!』はどのような経緯で生まれたのでしょう?
ねことうふ 僕は昔から、いわゆる「TSもの」(性転換もの)と呼ばれるジャンルの作品が好きだったんです。新海誠監督の『君の名は。』がヒットしたことで「そろそろかな」と思いまして(笑)、最初は同人誌という形で発表したところ、ご好評をいただきました。一迅社さんに声をかけていただいたあとも「次に来るマンガ大賞2018」や「アニメ化してほしい漫画ランキング2020」などの賞をいただき、果てにはアニメ化まで……。本当にありがたいです。

――『お兄ちゃんはおしまい!』というタイトルはどのようにつけられたのですか?
ねことうふ 表紙の絵柄がどうみても女の子なので「作品の設定がわかりづらいかな」と思い、タイトルに「お兄ちゃん」と入れました。それと、実は「おしまい」は「終わり」と「お姉妹(しまい)」とかけています! SNS上でタイトルの由来を考察し、正解されている方がいましたが、タイトルのつけ方関して私のほうから言及することがありませんでした。いまここで明言させていただこうと思います(笑)。

――ではここからはキャストのみなさんにお聞きします。最初に原作を読んだ感想をお聞かせください。
高野 私は「TSもの」に触れるのが初めてでしたので、すごく新鮮でした。一番気になったのは、ねことうふ先生がどうやって女性の細かい感情の変化や気持ちを把握することができているのか、ということです。女の私でも知らないことがあるくらいで(笑)。

ねことうふ そこ、気になりますか(笑)。僕の場合、過去のTS作品の定番を取り入れつつ、所作などは都度ネットで調べたりもしています。

津田 「お兄ちゃんを女の子にしよう」という発想がすごいですよね。緒山家を動かしているのは、みはりなんだな、というのがよくわかりました(笑)。

――そう言えば、4人は以前発売されたドラマCDでも共演されているんですよね。
高野 はい! でも夏織ちゃんとは一緒に収録できず、実はみはり役が夏織ちゃんだというのを後で知りました(笑)。
声優は性別の垣根を越えた演技ができることが魅力のひとつだと思うのですが、中身が男性だと知っていて女の子として演じるのがすごく難しくて……。「男の子だったらこうやって落とすんですよ」とディレクションしていただきつつ、演技を学んでいきました。収録を通して役の幅が広がったのを感じましたね。

石原 私は最初、テンション高めで役作りをしていたのですが「ところどころで科学者っぽさが出るようなイメージで」というディレクションをいただいたのを覚えています。あとでまひろの声を聴いたとき「確かに、ふたりともテンションが高くなってしまうと収拾がつかないな」と思いました(笑)。世界観に慣れてくると「このあとどんな物語が展開していくんだろう?」とワクワクする気持ちになりましたね。

金元 会話劇がすごく楽しかったです。かえでに関しては、家庭的で面倒見がいいのにギャルっぽさもある、ということで、それらを演技で表現するのが難しかったですね。

高野 まひろは、かえでと一緒にいるときが一番女の子っぽい気がします(笑)。

金元 確かにそうかも。懐いてくれてうれしい(笑)。それと、現場のスタッフさんが収録を手厚くサポートしてくださったのを覚えています。例えば緒山家が舞台のシーンでは、部屋のレイアウトを教えていただいて「大体ここからここまでの距離感で」と細かい指示をくださるんです。情景をリアルにイメージしながら演じられたのはよかったですね。

津田 もみじは見た目がボーイッシュなので、そこを意識しすぎてしまうところがありまして。まひろとの出会いも彼女(?)を助けるシーンから始まったので、その意識がますます強くなってしまいました。ただ、その後は女の子らしさも自然に演技に反映できたと思います。アニメでも、まひろがやらかすところを見守りつつ(笑)、時に支えつつ、楽しく演じています。

――ドラマCDにはカラオケシーンがあったとか。
高野 当日曲を渡していただいて「楽しい雰囲気で歌ってください」と言われたんです。「曲だけ音源化するわけではないので、キッチリ歌わなくてもいいですよ」と言っていただいたものの「まひろが音痴だと思われるのはイヤだ」という想いがまさりまして……(笑)。あのときはみなさんをお待たせしてしまい、申し訳なかったです。

――アニメのアフレコはいかがでしたか?
金元 ドラマCDでも語られていたエピソードをもう一度なぞる部分もあったので「まひろたちとはこういう出会い方をしたな~」と、懐かしみながら収録できました。

高野 第1話からまひろたちの動きがすごく細かく描かれていたのがうれしかったですし、アドリブも多めで、演じていて楽しかったですね。

金元 本作はとにかくアドリブが多いんです。「アドリブを入れられそうなシーンがあれば、絶対に入れてやろう」、と思いながら臨んでいました(笑)。

津田 アドリブに関する思い出と言えば……。クレープを一緒に食べるシーンがありまして、まりんか(高野さん)が先に録っていたのですが、もみじに対して「ねえ、どの味が好き?」というアドリブを入れていたんですね。確か「どっちも美味しいよね」とアドリブ返しをしたと思いますので、ぜひその耳で確かめてみてください(笑)。

高野 アドリブでの掛け合いセリフも多いですからね。楽しかったです!

津田 ほかにも、もみじが●●(伏字)してしまい、まひろちゃんと秘密を共有するというシーンがあるのですが、まりんかにどんなアドリブをするか相談したら「俺もよくやるんだよね」という答えが返ってきたのが面白かったです(笑)。

高野 よかれと思って言ってみたのですが、あまりに自虐ネタすぎましたかね……(笑)?

金元 クリスマスに、かえでとみはりが一緒にお出かけしているときのアドリブは大変でしたね。原作には「ワイワイ」としか書いていないので、いまどきの中高生はどんな会話をしているのかを調べて臨みました。

石原 あのシーン、実は私も事前に流行語をチェックしました(笑)。

金元 そうだったんだ(笑)。あとはアイキャッチ(CMの前後などに入る一枚絵)にもアドリブでセリフを入れたので、ご注目いただきたいですね。

ねことうふ アイキャッチ含め、アドリブに関しては、現場のみなさんにすべてお任せしました。

津田 先生にはアフレコに立ち会っていただきましたし、きわどいセリフを言ってしまっても「最終的に先生に判断してもらえばいいか」ということで、安心して臨むことができました(笑)。

石原 ちなみに、女子生徒が男子生徒を追い掛け回すシーンでは、女子があまりにもきつくあたりすぎてしまったので、録り直しになってしまった……という裏話もあります(笑)。

津田 男子を泣かせてしまうほどの怒りはさすがにまずかったですね……(苦笑)。

――先生から4人に聞きたいことはありますか?
ねことうふ みなさんが「ONIMAI SISTERS」として歌ったエンディングテーマ「ひめごと*クライシスターズ」に関して、どのようにレコーディングが行なわれたのか知りたいです!

石原 私がトップバッターで歌わせていただきました。ワチャワチャした作品なので「元気で楽しく歌ってください」と言われ、順調にレコーディングが進んだのですが、途中からスタッフさんもノッてきてしまったようで……(笑)。アドリブ指示が出たり、みんなで楽しみながら録音できたのが印象に残っています!

高野 みはりの声が入っていると、まひろも演じやすかったですね。意外とメロディアスな部分もあり「まひろって、こんなにルンルン歌うのかな?」と少々の疑問も感じつつ(笑)、歌入れをしました。

金元 実はアニメのアフレコ前にレコーディングをしまして。ドラマCDぶりにかえでの声を出したので少し緊張しましたが、『おにまい』の世界観を体現したようなメロディラインでしたので、終始楽しい気持ちで歌うことができました。レコーディングの際は「かえでのお姉さんっぽいところを出しながら歌ってみて」というディレクションを受けたのを覚えています。

津田 夏織ちゃんも言ってくれましたが、イントロからまひろを3人で取り合う、ワチャワチャした感じがよく出ていて心地いいんですよね。私自身、以前は別作品の4人組ユニットでワイワイ歌わせていただいていたので、懐かしく感じました(笑)。

――最後に、メッセージをお願いします。
津田 もみじは、みはりと仲良くなりたいオーラが常に出ているので、そこに注目しつつご覧いただけますと幸いです。もみじたち、めちゃくちゃ動きます!

金元 ファンの方からアニメ化の声がすごく強かったとお聞きしています。出てくるキャラクターたちがみんな優しい心を持っていて、アフレコが癒しの時間になっています。本編をご覧になってその様子が少しでも伝われば幸いです!

石原 ちょっと不思議なお話ですが「もしかしたらこんな日常もあるかも?」と思えるような、リアリティも感じられる絶妙な物語になっていると思います。お仕事や学校から帰ってきて『おにまい』を観てもらえたら、ほっこりした気分で「明日からも頑張ろう」という力がわいてくると思いますので、よろしくお願いします!

高野 『おにまい』は原作を読んですっかりハマってしまった作品です。みなさんに「アニメになってよかった」と思ってもらえるように頑張って演じています。ハートフルで優しい作品なので、ぜひ最後までお楽しみください!

ねことうふ 原作ファンにも納得していただけるクオリティをお約束します。お楽しみに!